「投資初心者さんあるある」NGな投資方法

老後の資金には約2000万円が必要といわれている一方で、将来のために資産運用を始めてみたものの、思うように利益が上がらない……頭を抱えている方も、多いのではないでしょうか。その原因は、知らず知らずのうちに、セールスマンの言いなりになってしまっているからかもしれません。銀行を含め、金融機関のほとんどが営利企業であり、収益を上げる必要があります。そのため、当たり前といえば当たり前なのですが、自社にとって都合のいい金融商品を売りたいと思っています。金融機関のいいカモになってしまわないためには、投資や金融商品に関する正しい知識を身につけておくことが必須。そこで今回は、投資初心者さんがやってしまいがちな、NG投資法5選をご紹介します。

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「金融機関に任せっきり」にするのはNG

いざ資産運用を始めようと思っても、多くの方は資産運用について学んだことがないため、具体的にどうすればいいのかよくわからないという方も多いのでは? そんなとき、プロに運用を任せられる投資信託(ファンドともいう)は、投資初心者の方にとって心強く思えますよね。だからといって、投資信託を取り扱う金融機関のセールスマンの言いなりになってしまうのは、いかがなものです。

そもそも投資信託とは、運用会社が投資家(利用者)のお金を運用してくれる金融商品のこと。投資家は資金を運用してもらう代わりに、信託報酬をはじめとした運用管理費用や手数料を、運用会社に支払います。過去には金融機関のセールスマンが、投資家に投資信託の乗り換えを、2年ごとにすすめることで、購入時の手数料や解約手数料で収益を得るケースが多々ありました。金融機関にすすめられるまま、頻繁に投資信託を乗り換え続けると、リターン(投資の損得)で得るプラスの金額よりも、手数料や信託報酬といったコストのほうが高くなってしまうことも多いんですよ。その結果、投資家の資産は増えるどころかマイナスになってしまうのです。

金融機関のセールスマンにすすめられた商品に投資しておけば安心、と感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、よくわからないからといってセールスマンに言われるままに投資するのは危険です。ちなみに現在は、金融機関が投資家に投資信託の乗り換えをすすめる「乗り換え営業」は、金融庁の指導によって自粛となっています。

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トータルの手数料を確認しないのはNG

金融機関に投資信託の運用を一任できる「ファンドラップ」という商品をご存知でしょうか?「実績のあるファンドを金融機関が厳選して運用してくれる」というファンドラップは、投資初心者にはうってつけの商品のように思えますよね。ですが、ここで注意しておきたいのが、運用にかかる手数料に関する情報開示性の低さです。ファンドラップには、広告の表示やセールスマンの話のなかで、はっきりと説明されない手数料=隠れコストがある場合が多いので要注意なんです。

ファンドラップ・フィー(手数料)については大きく表示されていたとしても、そのほかに運用管理費用(信託報酬など)がかかることについては、ほとんど説明されていないケースがあります。さらに、スタート時の購入手数料や、解約時手数料が別途かかるというケースまで。このようにファンドラップには、表面上はコストがあまりかからないように見えて、隠れコストがかかることで実は2~3段階のコストとなることが多々あるので注意が必要です。事前にトータルのコストを確認しておかないと、思ったよりもリターンが上がらないということになりかねません。

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安易に日本企業に投資するのはNG

普段お買い物をするとき、日本製・国産と聞くと、なんとなく信頼できますよね。ところが、これから成長する分野に投資することがセオリーである株式投資においては、日本の企業を過信するのは禁物なんです。なぜなら、世界規模で成長している企業の多くが日本企業ではないからです。

例えば、IT関連の業界において世界標準になっているのは、アメリカや中国などですよね。これらの30年前には存在しなかったサービスや会社に投資をすれば、大きな成果を得ることができたと言えるでしょう。日本が世界の株式に占める割合は約7%。にもかかわらず、日本の投資家の多くは日本株を中心に投資しているというのが現状です。自国に愛着をもつのは素敵なことですが、日本企業にこだわりすぎず、いま成長している外国企業に投資も検討してみるのをおすすめします。もっと言えば、世界の裕福な投資家たちが、日本株にだけ投資しているということはまずありません。ぜひ外国株にも目を光らせてみてください。

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高いリターンを求めて「アクティブ型投資信託」に飛びつくのはNG

アメリカにおける資産運用のトレンドのひとつとして、「インデックス運用」と呼ばれる方法があります。日本の株式に投資をする投資信託を例に挙げて説明すると、日経平均株価(東証一部に上場している会社225社の平均株価指数のこと)と同じ値動きを目指すことが「インデックス運用」の一例です。

インデックス型の投資信託の銘柄をひとつを買うだけで、例えば、日本代表225社の銘柄をまとめて買ったのと同じ効果を得られる、つまりリスクを抑えた分散投資が可能という高いメリットがあります。また、一般的に運用コスト(信託報酬)が安いのも嬉しいですよね。

このインデックス運用に対して、平均株価よりも高い株価・成果を目指すものを「アクティブ運用」といいます。アクティブ運用は、インデックスに比べて運用コストが高いのが特徴です。ということは、「その分リターンも大きいのでは?」と考えてしまいますが、“アクティブ運用のリターンは、インデックスにほぼ勝てない”のだそうです。アクティブ運用では、分散投資できるインデックス運用と違って、集中投資や高い通貨のリスクなどの場合で一攫千金のような、大当たりの場合もあるでしょう。とはいえ、インデックスに比べて運用コストが高い分、プラスのリターンが出にくいのです。事実アメリカでの15年間の比較では、9割以上のアクティブ型投資信託が、インデックスよりも成績が悪いというデータも実際にあります。

しかしながら、金融機関が投資家にインデックス型ではなく、アクティブ型の投資信託をすすめることもあるんです。なぜならアクティブ型のほうが、より高い手数料を受け取れるからです。くれぐれも、ギャンブルのような感覚でアクティブ型投資信託に飛びつかないように注意してくださいね!

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「短期間の運用」で成果を判断してしまうのはNG

堅実にお金を増やすためには、外国資産を組み入れた分散投資が有効といわれています。ところが、分散投資の実力を調べた調査データでは、100万円を1年間運用した結果、元本を割った回数は49回中15回。つまり分散投資をしていても、約3割はリターンがマイナスになってしまう可能性があるんです…。「それなら分散投資をしてもあまり意味がない」と考えてしまうのは、早とちりです。先のデータと同じ条件で、保有期間を1年ではなく10年に延ばした結果では、元本を割った回数は40回中1回になります。要するに、短期間の運用で成果は判断できないということです。

私たちの年金を運用する世界最大の投資家・GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は、分散投資を行なっています。その主な分散カテゴリーと比率は、国内債券35%、国内株式25%、外国債券15%、外国株式25%。このように外国資産を組み入れた国際分散投資は、長期的に見て効率的な投資である、といわれているのです。もちろん運用の良い年があれば悪い年もあるものの、投資期間を延ばしていくと、投資期間全体ではプラスの収益が積み上がりやすくなります。ただし、投資の世界に「絶対」がないこともお忘れなく!いくら10年単位の長期投資をしていても、コストが高ければマイナスになることもあると、肝に銘じておいた方が良いでしょう。

まとめ

仕組みをきちんと理解した上でチャレンジしよう!

いかがでしたか? 投資でお金を増やすためには、高いリターンを求めるよりも、できる限りコストを抑えることが近道と言えるでしょう。リスクの低いとされるインデックス運用であっても、なかには信託報酬などが高いものもあるので、安心してはいけません。事前に信託報酬や手数料などを確認するクセをつけておきましょう。リスクを知れば知るほど怖いと思って敬遠してしまいがちな投資ですが、仕組みをきちんと理解したうえで取り組めば、大きな失敗をすることはないはずです。今回の記事を参考に、前向きな気持ちでチャレンジしてみるのをおすすめします!

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