いま注目すべき腸活“酪酸菌”とは……?

お腹の調子が悪いと気分も下がるし、お肌の調子も悪くなって良いことなしですよね……。腸内環境を整えることは、美しさや健康の基盤となるものです。ヨーグルトなどから腸の働きをよくする乳酸菌や、ビフィズス菌を摂る人が増える一方で、新たな菌である「酪酸菌」への注目が高まっているのをご存知ですか? 今、若い人の間で急増している腹痛の原因も、長生きと関係しているといわれているのもこの「酪酸菌」なんですよ!そこで今回は、その「酪酸菌」のまだまだ知られていない働きについて、 お話していきたいと思います。お腹の弱い方、必見です!!

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腸内細菌は「隠された臓器」

私たちの体の中には、腸内細菌がどれくらいいるのかご存知ですか? その数はなんと、約40兆個、多い人で100兆個にものぼるんですよ。35兆個といわれる体細胞の数よりも、実は腸内細菌の数の方が多いのです。なぜ腸内細菌はこれほど多いのか?というと、それは、腸内細菌がほとんどひとつの臓器のような活躍をしているからです。

腸内細菌は、それぞれの菌がお互いに助け合いながら、人間の消化器官だけでは消化できない食物の残りカスを発酵させ、体に必要なビタミンや、もっとも重要な短鎖脂肪酸などの代謝物を作ってくれています。短鎖脂肪酸とは、腸内細菌が食物繊維などを原料として産生する物質です。酢酸(さくさん)、酪酸(らくさん)、プロピオン酸などの種類があり、腸内の環境を整え、腸内の炎症を抑える働きもしています。

実は、水分を吸収する大腸上皮細胞の7割くらいのエネルギーは、短鎖脂肪酸でまかなわれています。腸内細菌は活発に食物繊維を分解してくれることから、よく“隠された臓器”という言われ方をしますが、腸内細菌が異常になるということは、臓器の異常と同じことなんです。偏食や腸内細菌の異常によって短鎖脂肪酸などが不足すると、免疫や代謝のバランスが崩れてしまいます。また異常な腸内細菌によって、体全体の健康を損なう有害物質が生まれてしまうのです。

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腸内の炎症を防ぐ「酪酸菌」のチカラ

免疫機能の悪化やアレルギー、大腸がん、炎症性腸疾患(IBD)なども、腸内細菌のバランスが崩れることによって起きる疾患のひとつです。特に日本では、炎症性腸疾患が若い人の間で急増しているんですよ。炎症性腸疾患の患者数は、ここ30~40年で実に300倍にもなっています。炎症性腸疾患は、腹痛や下痢がずっと続き、一度発症するとなかなか治らない厄介なものです。

炎症性腸疾患の患者さんには酪酸菌がいない

患者さんに共通しているのは、体内の酪酸(酪酸菌)の数値が低いということです。健常人の便からは必ず酪酸菌が検出されますが、炎症がひどい患者の便にはほとんど酪酸菌がいないんです。また、炎症性腸疾患の治療としては、酪酸を生み出す菌の経口投与が行われています。炎症性腸疾患は、高度経済成長期から増えてきており、欧米化した食生活がその要因のひとつと考えられています。

長生きとも関係がある?!

酪酸菌には長生きとの関係を指摘する研究もあります。100歳以上の住民が多いことで知られる京都府京丹後市では、住民の腸内にたくさんの酪酸菌がいました。一般にはまだあまり知られていませんが、酪酸菌は非常に重要な働きをもつ腸内細菌と言えるでしょう。

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「酪酸菌」を増やす方法

腸内の炎症を防ぎ、長生きの鍵を握るともいわれる酪酸菌ですが、私たちが日常生活のなかで酪酸菌を増やす方法はあるのでしょうか?酪酸菌を含む食品は、一部のぬか漬けや臭豆腐などです。食べ物から直に摂ることはかなり難しいので、酪酸菌が含まれる整腸剤が使われています。ただし、食生活を改善することで腸内細菌を豊かにし、酪酸などの有用代謝物を増やすことは可能です。まずは「高マックス食」と呼ばれる食品を摂ることをおすすめします。

腸科学では、 生きた有用細菌を摂ることを「プロバイオティクス」、菌のエサとなり腸内環境を改善する食品成分を「プレバイオティクス」、この2つを一緒に摂ることを「シンバイオティクス」と呼んでいます。生きた微生物と「高マックス食」を組み合わせた「シンバイオティクス」なら、もっとも効果的に腸内環境を改善できるでしょう。

まとめ

酪酸菌が希望の光となる♪

いかがでしたか? すぐお腹が痛くなるという若者は非常に多いですよね……。これから何十年も腹痛とずっと付き合い続けていくということ考えるととっても憂鬱な気分になってしまいます。しかし、今回紹介した「酪酸菌」が希望の光をもたらしてくれる可能性が高いです。腸内の「酪酸菌」を育てる新たな腸活は、今後さらなる注目を集めていくことでしょう。今回の記事をヒントに、みなさんも高マックス食を始めてみてはいかがでしょう?

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