急激な円安が続く今でも「つみたてNISA」「iDeCo」を続けるべき?

2022年から、急激に円安が進んでいます。円安が進むと、「つみたてNISAやiDeCoを始めても(続けても)いいのかな……」と不安に思う方もいるかもしれません。しかし、結論からいうと、円安・円高を気にせずに始めて(続けて)OKです。今回は、円安でも円高でも、つみたてNISAやiDeCoを続けていい理由を紹介します。

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2022年3月以降に円安が急激に進行

円安・円高とは、「外国の通貨から見た円の価値」が高いか安いかを表す言葉です。
文字どおり、円安は円の価値が安いこと、円高は円の価値が高いことを表します。

例えば、1ドル=120円のときには、1ドルで120円が手に入ります。
しかし、これが1ドル=130円になったら、1ドルで130円も手に入れることができます(為替手数料などは考慮しません)。
同じ1ドルでも、手に入る円の金額が増えたということは、「ドルから見て円の価値が安くなった」ということ。つまり、「円安」です。

一方、1ドル=110円になったとします。この場合、同じ1ドルで110円しか手に入らなくなってしまいます。
「ドルから見て円の価値が高くなった」のですから、「円高」です。

では、実際ドルと円の為替レートはどのように推移しているのでしょうか。
2020年からのデータを確認してみると、2021年9月まではおおむね1ドル=100円〜110円の間で推移していましたが、以後は円安傾向に。
特に2022年3月以降は円安が急激に進行し、一時1ドル=149円もの円安をつける展開もありました。
ここまでの円安は約32年ぶりです。

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為替変動を気にせず投資を続けるべき理由

つみたてNISAやiDeCoは円安でも円高でも、為替変動は気にせず続けるべきだと考えます。
その理由は大きく3つあります。

理由1:世界経済は今後も成長するから
IMF(国際通貨基金)の「世界経済見通し(World Economic Outlook)」によると、2022年の3.4%から2023年は2.8%へ鈍化した後、2024年には3.0%に落ち着くと見込まれています。
世界経済の見通しは、リーマン・ショックやコロナ・ショックのときにはマイナスとなったこともありますが、例年おおよそ4%前後で推移しています。

2023~2024年の世界経済見通しは、ロシアのウクライナ侵攻や中国の景気減速などを加味して少し下方修正されましたが、それでもなお3%程度の成長をするとなれば、円安・円高を気にせず、海外投資を継続することでその恩恵を受けられるでしょう。

理由2:日本より成長力の高い国がたくさんあるから
海外には、日本より成長力の高い国があります。
例えば、米国は世界トップの経済大国です。世界的なIT企業であるGAFAM(グーグル・アマゾン・フェイスブック(現メタ)・アップル・マイクロソフト)を筆頭に、さまざまな分野で世界的な規模の大企業がひしめいています。

そのうえ、米国は実力主義。米国人に限らず、世界中から優秀な人材が集まり、ビジネスが発展しています。
株式市場のスケールも日本とはケタ違いの大きさです。
しかも米国は、主要先進国の中で唯一、人口が増加しています。
人口が増えるということは、これからも経済活動が活発に行われることを意味します。

もちろん、欧州など米国以外の先進国や中南米・東アジアなどの新興国などの中にも、日本より高い成長を遂げる国があるでしょう。
日本や米国だけでなく、さまざまな国に分散投資しておくことで、リスクを抑えながらお金を堅実に増やせるでしょう。

理由3:円高や株価下落をチャンスにできるから
為替レートは、円安になったり円高になったりを繰り返します。
今後、円高になる局面がくる可能性もあります。
また、株価が下落し、投資信託の価格も値下がりするという場面がくることも十分に考えられます。
つみたてNISAやiDeCoではコツコツと積立投資を行うため、今後の円高や株価下落をチャンスにできる可能性があります。

投資信託のように値動きのある商品を「毎月1万円ずつ」などと一定額ずつ購入すると、商品の価格が高いときには少ししか買えず、商品の価格が安いときにたくさん買えることになります。

こうした購入方法を「ドルコスト平均法」といいます。
ドルコスト平均法を続けると、円高や株価下落の際に多く商品を買い付けるため、平均購入単価が下がります。
平均購入単価が下がると、再び値上がりしたときに利益を出しやすくなります。

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早く始めて長く続けるのがおすすめ

つみたてNISAやiDeCoを利用して積立投資を行えば、節税しながら効率よくお金を増やすことができます。
ですから、つみたてNISAやiDeCoは、なるべく早く始めて、長く続けるのがおすすめです。

もっとも、自分のリスク許容度に見合わない投資をしている場合、日々の値動きが気になってしまいます。
長く投資を続けるためにも、家計に無理のない積立金額で積み立てを行うこと、そしてリスク許容度にあった投資信託に変更することが大切です。

リスク許容度は、投資で損失が生じた時に、どの程度までなら耐えられるかを示す度合いのことです。
収入・資産・年齢・投資経験・リスクに対する気持ちなどによって変わるため、人によって異なります。

例えば、米国株投信だけに投資をしている場合で、値動きが激しくて精神的に厳しいということもあるかもしれません。
その場合は、先進国株といった、米国以外の国にも幅広く投資する投信を購入すると、より多くの国に分散投資できるため、リスクの低減に役立ちます。

また、複数の資産に投資するバランス型投信で、債券にも投資している商品を選ぶことでも、リスクを下げることができます。

まとめ

悩むよりも今すぐ始めましょう!

2023年8月にまた円安になっているので、今、つみたてNISAやiDeCoを始めてもいいものかと悩んでいる方もいるかもしれません。
しかし、つみたてNISAやiDeCoでコツコツと海外に積立投資をしていれば、円安でも円高でも関係なく、堅実に資産を増やせる期待ができます。

積立投資・分散投資は、長く続けてこそ効果を発揮します。
「長く続ける」ためには「早く始める」ことが大切です。

悩むよりも今すぐ始めましょう!

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