昔の1円は今のいくら? お金の価値は常に変化している

お金の価値は、モノの値段や私たちの給与など、社会情勢によって変化します。同じ「1円」であっても、今と昔ではまったく価値が異なるのです。では、昔の1円とは今とどのくらい価値が異なるのか、ちょっと気になりますよね。そこで、明治にまでさかのぼって、大正、昭和と、それぞれの時代の1円の価値が現在の価格でどのくらいかを紹介したいと思います。

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明治時代の1円 現在の価値は?

昔の1円と、今の1円を比べるための指標はいろいろあります。
まずは、日本銀行調査統計局が発表している「企業物価指数(戦前基準指数)」をもとに、1円の価値を見てみましょう。

1901年(明治34年)の企業物価指数は0.469。
2019年(令和元年)の企業物価指数は698.8です。
約1490倍になっていますから、明治時代の1円は今の1490円の価値があると言えます。

ただ、違うものさしで考えてみると、また1円の価値は変わってきます。
次は、当時の給与をもとにして考えてみます。
明治時代は、小学校の教員の初任給が1ヶ月で8~9円だったと言われています。
現在の初任給は約20万円であることを考えると、1円は2万円もの価値があったとも考えられます。

食べ物を例にしても考えられます。
明治元年、白米10㎏の価格は55銭、円に換算すると0.55円と言われています。
現在、全国の全銘柄平均の白米10㎏の価格は約2618円ですので、1円は4760円程度の価値があると言えます。

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大正時代の1円 現在では……

次に、大正時代の1円の価値を見てみたいと思います。

1913年(大正2年)の企業物価指数は0.647ですので、2019年と比べると約1080倍になります。
つまり、1円は約1080円の価値があったと言えます。

大正時代の給与は、小学校の教員の初任給は50円程度と言われているので、1円は約4000円の価値があったことになります。

大正元年の白米10㎏の価格は、1円78銭だったとか。
となると、1円は約1471円の価値があったと考えられます。

明治時代と比べると、1円の価値が下がってきていることが分かりますね。

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昭和は時代が進むにつれ価値が変化

それでは、昭和時代になると、1円の価値はどうなるのでしょうか。

1927年(昭和2年)の物価指数は1.099。
2019年と比べると約636倍のため、昭和時代の1円は636円の価値があると言えます。

昭和時代の小学校教諭の初任給は、初期は50円程度と大正時代とあまり変化がありません。
しかし、1959年(昭和34年)以降では初任給として約2万円をもらっていて、昭和時代が進むにつれて、お金の価値が変化していったことが分かります。
初任給が2万円だった時の1円の価値は約10円ですね。

昭和元年の白米の値段は3円20銭だったと言われています。
これを現在の白米の価格と比べると、当時の1円は約818円の価値となります。

昭和時代に大きくお金の価値が変わったのは、戦後に起きたインフレが大きな要因だと思います。

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現在の日本はデフレが続いている

お金の価値は、常に変わり続けています。

一般的に、貨幣価値はモノの価値と比較して、相対的に判断されます。
モノの価値が上がったか、下がったかを表す代表的な言葉が「インフレ(インフレーション)」と「デフレ(デフレーション)」です。
インフレはモノの価値が上がることを指し、インフレが起こると相対的にお金の価値は下がります。

デフレはインフレの逆で、モノの価値が下がることを指し、デフレが起こると相対的にお金の価値は上がります。

現在の日本では、デフレが続いています。
その大きな理由として、戦後の高度成長期を経て、1980年代後半にバブル景気が起きましたが、1991年(平成3年)にバブルが崩壊しました。

そのバブル崩壊からいまだに脱却できておらず、失われた30年とも言われています。
さらに、2008年にアメリカの大手投資銀行リーマン・ブラザーズの経営破綻によって、世界的に株価が下落し、不況に陥るリーマンショックが起きました。
日本でもこの不況の影響を受け、物価が下落し、企業や会社員の収入が下落するという現象が起きました。

2019年の企業物価指数は、先ほど解説した通り698.8ですが、リーマンショック前の2008年では736.6でした。
さらに、物価が一番高かったのは1982年(昭和57年)で、当時の物価指数は852.7でした。

まとめ

お金の価値の変化に敏感になろう

明治時代の1円は現在の2万円の価値ということで、時代を経るにつれて、お金の価値が大きく変わってきたことが分かります。

このように、お金の価値は常に変わっていることを理解しておくことが重要です。
貯蓄をする上でも、影響を及ぼすことがありますからね。

貯金や投資をしている場合は、特にお金の価値の変化に敏感になっておきましょう。