田舎暮らしに憧れるあなたへ 移住で失敗しないための心構えをアドバイス

コロナ禍をきっかけに、首都圏から地方に移住してみたいと考える若い世代も増えています。親の介護のためなど、明確な目的を持つ人もいれば、何となく移住してみたいと考える人も多いかもしれません。そんな漠然とした移住希望者は、失敗しないためにどんな準備をしたら良いでしょうか。移住への心構えをアドバイスしたいと思います。

  1. 田舎暮らし
  2. 移住
  3. 心構え
1

移住後の収支を明確にする必要がある

移住するにあたっては、引越し代など一時的にさまざまな支出が必要になりますが、もっとも気をつけなくてはいけないのは、移住後の日々の収入と支出、つまりランニングコストの変化です。

特に、都市部での仕事を辞めて移住すると、多くの場合は収入が減ります。
もちろん、家賃などの費用は減るケースが多いのですが、そのプラスマイナスをよく見極めなくてはいけません。

引越しにかかる費用は数十万円です。
地域によっては、補助金をもらえるケースもありますが、それも大金ではありません。
この先何十年も住むことを考えると、日常のコストの方がずっと大きくなります。
そこをよく考えないと、将来破綻することにつながります。

また、生活費や物価の面でメリットはあっても、自動車を使う場合は購入費や維持費、ガソリン代などがかかります。
公共交通機関を利用するにしても、地方は都市部よりも割高ですし、住宅費も考える必要があります。

その中でも一番大きいのは仕事です。
支店への異動やテレワークが可能で、今の仕事を地方でも継続できる人は良いのですが、転職するとなると、一般的には収入は減少します。
起業する場合も含め、仕事の方針と収支を明確に検討しなくてはいけません。

2

自動車がないと不便な地域も多い

候補地や仕事はさておき、自然豊かな地方で暮らしたい、東京暮らしから脱出したいなど、漠然と移住を考える人も多いようです。
しかし、移住を考えているなら、移住する目的を明確にしてください。
テレビで偶然見て、気に入ったなど、漠然としたあこがれだけでは、上手くいきません。

そして、どんな地域に移住するにしても、生活をしていくための収入源、つまり仕事について検討する必要があります。
また、将来のことも大切です。若いうちだけなら、自然に囲まれた暮らしは楽しくても、高齢になった時に、どんな暮らしが待っているのか考えなくてはいけません。

例えば、離島に住みたいと思っても、医療施設がなければ、病気やけがをした時にどうするのかシミュレーションしなくてはいけません。
子供がいる場合は、保育園や小中学校、高校などの状況を事前に調べておくことも必要でしょう。

地方の交通事情を理解していない人もいます。
バスや鉄道などの公共交通機関が便利なのは一部の大都市だけです。

仕事だけでなく、スーパーマーケットや病院などに通うのも自動車がなくては不便という地域が多いです。
場合によっては、家族それぞれの車が必要ですし、運転免許がない人は移住前に取得しなくてはいけません。
高齢になって運転ができなくなった時、どうするのかも考えておきましょう。

3

地方での人間関係はかなり濃密です

近所付き合いが希薄な都会から移住すると、地方での人間関係は濃密で、戸惑うことが少なくありません。
特に集落でその傾向が強く、実際的な負担としても、町内会や組合などで労力と役務の無料奉仕を当然のように求められます。

人間関係の煩わしさを避けたい方は、集落ではなく、別荘地や分譲地を選ぶのが無難です。

移住するにあたって、家を購入する人も多いのですが、はじめは賃貸で暮らすことをオススメします。
移住して満足できれば、それに越したことはないのですが、まったく知らない土地の場合、実際に住んでみると、「思っていたのと違った」「こんなはずではなかった」と後悔することもあります。
そんな時、賃貸住宅であれば気軽にやり直せますからね。

都会暮らししかしたことがない人は、いきなり交通が不便で、日常の買い物にも不自由するような暮らしは合わないかもしれません。
そうした不安を持っているなら、まずは札幌や仙台、福岡など、地方の大都市に住んでみるというのも1つの方法です。
地方の大都市で慣れてみて、もっと地方で暮らしてみたいと思ってから移住するという、二段階移住をすれば、失敗する可能性は低くなりますよね。

まとめ

数日間だけでもお試しで住んでみましょう

移住にあこがれを抱いているなら、移住する目的を明確にしてください。
あこがれだけでは、必ずと言っていいほど後悔することになるからです。

次に、仕事をどうするか。収支のバランスもしっかりチェックしておく必要がありますね。
交通事情や医療機関なども調べておく準備が大切です。

今は多くの地方都市が人口減に悩んでいて、移住者を歓迎しています。
移住の意志が固まってから、役場の担当部署を訪ねても、援助などについて丁寧に対応してくれるはずです。

候補地が見つかったら、すぐに移住を決めてしまわず、教育や医療、買い物など日常生活をきちんと見極めるため、現地を何度か訪れることも大切。
できるなら数日間でも実際に『お試し』で住んでみると、より具体的に地方暮らしを実感できるでしょう。