20歳代のゆるミニマリストに聞く「私がモノを持たなくなった理由」

必要最低限のものだけで生活する「ミニマリスト」というライフスタイルが、数年前から注目を集めています。ところが最近、20歳代女子の間でかつてのストイックな印象とはちょっと違う、「ゆるミニマリスト」が人気なのだとか。「ゆるミニマリスト」な暮らしを実践する、2人の女性のケースを紹介します。

  1. ゆるミニマリスト
  2. ライフスタイル
  3. 始めた理由
1

減らすこと自体に価値を置いているわけではない

Instagram(インスタ)で発信を続ける“ゆるミニマリスト”のAさんは、東京で1人暮らしをする20歳代の女性です。
インスタには、ホワイト系のインテリアの写真のほか、ファッションやビューティのTipsが並び、一見するとファッション系のインスタグラマーのようです。

しかし実は、掃除機やテレビも持たず、洋服は本当にお気に入りの10着前後。
食費は1週間3000円程度という、ミニマルな暮らしをしています。
彼女のライフスタイルは多くの支持を集め、インスタのフォロワーは約10万人に迫る勢いです。

そんなAさんの考える、ゆるミニマリストの定義とは何でしょうか。

Aさん「『自分の生活から不要なものを取り除き、好きに囲まれて生活する』という意味では、めざすところは従来のミニマリストと変わらないと思います。
ただ、ものの削ぎ落とし方が、少し緩やかかもしれませんね。
私は、減らすこと自体に価値を置いているわけではないですし、正直に言って、減らしすぎると不便だと思います。
だからベッドもあるし、机も椅子もある。電化製品もひと通りそろっています。
その代わり、『本当に気に入っているかどうか?』という基準は、厳しく持っていますね」

Aさんの家を見ると、持ち物は少ないながら、それぞれのアイテムには個性があります。
必要不可欠なものだけでなく、お気に入りの置き物などもレイアウトして、自分らしいインテリア選びをしているのです。

2

好きなものを断捨離する必要はない

同じようにインスタで発信をしているBさんが、ゆるミニマリストとしてめざすのは、豊かな生活をすることだそう。

Bさん「必要最低限の暮らしをするために、物を減らしているわけではないんです。
私は豊かな暮らしをするために、好きなものだけを持つ主義なんです」

Bさんはアイドルのファンで、グッズもたくさん持っているそうです。
「好きなものを断捨離する必要はないと思っています。
私の場合は、アイドルのコンサートに友達と行ったりする“推し活”がストレス発散になっているので、『これは削る必要のないもの』という考えです」(Bさん)

ゆるミニマリストにとって、「気に入っている」や「好き」が、取捨選択の大きなポイントと言えそうです。

Bさんのお部屋は、明るい木目がポイントのナチュラルテイスト。
ドライフラワーがそこかしこに飾られていて、かわいらしい印象です。

ブロックのテクスチャーがあしらわれた白の収納戸棚はDIYしたもの。
そこに鏡を置けば、ドレッサーを兼ねることができます。
そして、戸棚のなかには“推しグッズ”スペースも。
テイストの異なるアイテムを戸棚のなかに収納することで、部屋がスッキリと見えます。

3

自分のマインドを変えなければ自信は生まれない

2人はなぜミニマリストになったのでしょうか。
ミニマリストというライフスタイルを日本で広めたのは、2015年に出版された編集者・佐々木典士さんによる著書『ぼくたちに、もうモノは必要ない。』です。
そのなかに佐々木さんの考えるミニマリストの定義があります。

①自分が本当に「必要」なモノがわかっている人
②大事なものが何かわかっていて、それ以外を「減らす」人

ゆるミニマリストは、現代に定着したミニマリストというライフスタイルの、「好き」や「お気に入り」にフォーカスした1つの形であるといえそうです。

Aさんの場合は、「大学の教授に貸していただいた『フランス人は10着しか服を持たない』という書籍」がきっかけ。
「その本に影響を受けて、クローゼットの服を減らしたのです。」

Aさん「実は昔の私は浪費家で、学生にもかかわらず、ネットで毎月何万円も洋服を買うような生活でした。
交友関係もわりと広く、誘われれば断れずに飲み会にも参加していました。一方でそういった生活に、どこか焦燥感を感じてもいたのです。

あの満たされない感覚を何と表現したらいいのか難しいのですが、ひと言でいうと自分に自信がなかったのかもしれません。
服を買って、ヘアメイクにお金をかけて……ということをしても、どこか垢抜けず満たされない。
本を読んで、たくさん服やコスメを持っていても、自分自身のマインドを変えなければ自信は生まれないと気づいたのです」

一方のBさんがミニマリストになったのは、お金の問題がきっかけだったと言います。

Bさん「私が大学生のころ、両親が離婚したのです。
それまで家の大黒柱は父だったので、母と暮らすことにした私には、お金が足りなくなる心配があり、貯蓄に興味を持ったのです。
それから、ミニマリストというライフスタイルにも興味を持ちました。

ミニマルな生活を実践してみると『物を買わなくても、今あるもので生活はできるんだな』という自信につながりましたね。
当時の母は私に不自由な思いをさせたくないからか、一緒に街を歩くときに目に入ってくるものを『買ってあげようか』と聞くことが多かったのですが、『そんなに物を買わなくても、あるもので十分じゃない』というのは、よく言っていました」

まとめ

「好き」を基準に生活を研ぎ澄ます

コロナ禍を経験したことで、日々の暮らしを意識するようになった女性も多いことでしょう。
もしも、ライフスタイル迷子になってしまう自分を感じたら、一度生活をそぎ落としてみることも1つの方法です。

ストイックに自分を切り詰めず、「好き」を基準に生活を研ぎ澄ます、ゆるミニマリストの暮らしが参考になるかもしれませんね。