動物と幸せに暮らすために知っておいてほしいこと~ペットは可愛いだけじゃない~
ペットを飼うことで、癒されたり、家族仲が良くなったり…とたくさんのメリットがあります♡一方で、思っていたよりお世話が大変だったり、お金がかかったり…など、デメリットがあるのも現実です。ペットを飼う負担から、「飼わなければよかった…」「誰かに譲ってしまいたい…」と思うことが絶対にないとも言えません。そしてその時にもっとも不幸なのは、ペットを飼い始めた本人ではなく、自分自身で行き先を決められない「ペット」なんですよ。少しでもそんな不幸な思いをするペットを増やさないためにも、今回はこれからペットを飼いたい方向けに、ペットを飼うことのメリットとデメリットをお伝えしたいと思います!ペットを飼いたいと思っている方は、ぜひご一読ください。
ペットと一緒に暮らすことのメリット
動物好きな人にとって、家にペットがいる暮らしは、想像以上に豊かで喜びがいっぱいな生活になります。そのため、メリットは数えきれないといってもいいでしょう!ここでは、代表的な4つのメリットをご紹介していきます!
①心が癒される
ペットと暮らす最大のメリットは、癒やされることでしょう♡哺乳動や小鳥の体温に触れると心も温かくなり、それだけで安心するものです。爬虫類や魚類が大好きな方は、ただ眺めているだけでも、なんとなく気持ちが落ち着いてきますよね。
ペットによって人の心が癒されるのは気のせいではなく、実は科学的根拠があるんです。人と犬が視線を合わせて交流を深め、そして触れ合うことで「オキシトシン」というホルモンが双方に増加します。このオキシトシンは「幸せホルモン」とも呼ばれ、母と子の絆だけでなく人と犬などペットとの絆、人と人の絆を深めるのにも重要な働きをしているホルモンです。信頼関係を形成し、「ストレスの緩和」「アルコール摂取量を抑える働き」もあるといわれています。
また、「熱帯魚の水槽を眺める」だけでもリラクゼーション効果があります。眺める時間が長くなることで人はリラックスでき、ストレスが緩和されることも明らかになっています。水族館でクラゲのふわふわ泳ぐ姿を見ていると、なんだか気持ちが落ち着いてストレス解消になることってありませんか?このように、金魚や熱帯魚を飼うことも多くのメリットがあるんですよ♪
②病気にかかりにくくなり、治りやすくなる
“ペットを飼っている人は飼っていない人に比べ、病気にかかりにくい、また、かかったとしても治りやすい”というデータがあります。また、以下の研究結果も発表されています。
・心筋梗塞にかかった人の1年以内の死亡率は、犬を飼っている人のほうが低い
・ペットを飼っている人のほうが、手段的日常生活動作能力(※IADL)がよく、犬や猫を長く飼っている人は降圧剤を飲む割合が低い
・ペットを飼っている人は飼っていない人に比べて、1年以内に病院にかかる回数が少ない
※IADLとは,BADLの身の回り動作(食事,更衣,整容,トイレ,入浴等)・移動動作の次の段階である。具体的には,買い物,調整,洗濯,電話,薬の管理,財産管理,乗り物等の日常生活上の複雑な動作をいう。
ペットを飼育している効果とは異なりますが、動物が好きな終末期のがん患者さん6名のもとを犬が訪問した研究報告もあります。犬と触れ合った結果、患者さんたちからは「症状や痛みを忘れることができた」「喜びを感じた」「癒しを得た」「気持ちが晴れた」というポジティブな結果が得られました。ペットと触れ合うことで気持ちが晴れ、体も元気になるというメリットもあるんですね♡
③規則正しい生活ができる
ペットがいると朝早く起きるようになり、規則正しい生活を送るようになります。ペットのお世話は毎日休みがなく、それこそ待ったなしです。犬なら朝夕の散歩は、よほどの悪天候でないかぎり欠かせません。飼い主が夜型の場合は、ペットも夜型になることもありますが、基本的には規則正しい生活になることが多いようです。
リスを飼ったことがきっかけで、生活リズムを取り戻したという興味深い研究報告もあります。これは、ペット飼育が奏功した長期留年生の一例です。留年を繰り返していた男子大学生が朝起きれず、全身倦怠に見舞われ、学業の意欲も低下。ところが、リスを飼い始めたらリスが毎朝6時に起こすようになり、大学生は起きて世話をするようになります。だんだん生活リズムが整い、大学にきちんと通えるようになって、最終的にはめでたく卒業もできたとのこと。リスのような小さな生き物でも、存在感の大きさを感じることができます。病気になりにくいことや回復が早まるのは、規則正しい生活になることも関わっているかもしれませんね!
④家族やパートナーとのコミュニケーションが増える
ペットのかわいいしぐさや行動は共有したくなるものです。険悪な親子喧嘩の途中でも、ペットがエサをねだって鳴きだしたりすると、喧嘩どころではありません。賢いワンちゃんは口論になると間に入って、双方をなだめようとするなんてこともあるので、喧嘩もしづらいでしょう。会話が減りつつある夫婦でも、猫のことなら報告してしまう、ペット用品のことだから、相談して一緒に買いに出かける…など、夫婦関係の危機をペットが救っている面が少なからずあるのではないでしょうか。
ペットと一緒に暮らすことのデメリット
デメリットでよく知られているのは「お金がかかること」「留守にしづらいこと」「部屋が汚れたり、臭くなったりすること」などではないでしょうか。また、人獣共通感染症にかかる確率が高くなったり、ペット依存症になる可能性もあるなど、飼い主さんの生活を大きく脅かす場合があることを知っておいてください。それでは、デメリットについても詳しくお話していきましょう!
①予想以上にお金がかかる
フード代をはじめ、ペットたちの生活用品代や光熱費、治療費など…その他諸々の出費があり、思ったより高額になる場合も多いようです。デグーやハリネズミ、モルモットなどは、体が小さく食べる量も少ないからフード代がかからないなどと紹介されている場合があります。しかし、小さな哺乳類たちのフードは手に入りにくいものも多く、安売りもほとんどありません。Amazonや楽天などの通販で買う場合は送料もかかるので、注意が必要です。
犬や猫、デグー、モルモット、チンチラなどの小さな哺乳類たちは、急激な温度変化に弱く、暑さ寒さに弱いという特徴があります。特に日本の夏の暑さは生命の危機に直結します。生まれたばかりの頃や、高齢になったときは、さらにしっかりした温度管理が重要です。1日中エアコンをつけたままの日々が続くので、電気代がかなりかかることを覚悟してください。
ペットたちは病気にかかったり、ケガをしたりすることも当然あります。動物病院での治療が必要になり、手術や入院することも。病気やケガはなくても、予防のために健康診断が必要になってきます。犬や猫では避妊・去勢手術を受けたり、感染症予防のためにワクチンを接種したりとさまざまな医療費がかかってしまいますが、健康維持のためには必要なことです。
②体臭や排泄物の臭いや抜け毛がある
動物特有の臭いがどうしても部屋にこもります。消臭剤を使っても、臭いに敏感なお客さんは「クサい!」と思っているかもしれません。排泄物はもちろん臭います。草食動物は臭いが少なめとはいえ、少しでも掃除を怠ると敷材にカビが生えやすくなり、夏場は特に臭いが気になるでしょう。抜け毛も避けることができません。
プードルやヨークシャーテリアは、比較的抜け毛が少ないとも言われていますが、どうしても抜け毛はあります。こまめに掃除をして、ペットそのものを清潔に保つしか方法はありません。清潔にすることは、次に説明する感染症予防にもつながります。
③人獣共通感染症に感染する危険もある
人獣共通感染症は「ズーノーシス」とも呼ばれ、動物も人も同じ病原体に感染する病気のことです。野生動物に接したり咬まれたりすることで感染するほか、ペットとの過度の触れ合いや、不潔な状態から人間に感染することがあります。
例えば「キスをしてしまう」「排泄物をなかなか片づけない」「ペットに自分のおはしでごはんを食べさせる」のも禁物です。かまれたり引っかかれたりしたのを放置することで、「猫ひっかき病」「パスツレラ症」に感染する危険性も高まります。これらの感染症は、たとえ動物が無症状でも人に感染すると「リンパ節が腫れる・傷む」などの症状が出ます。「カプノサイトファーガ・カニモルサス症」では、まれに敗血症や髄膜炎を起こすこともある怖い感染症です。
感染症にかかっているペットの便を片づけたあと、きちんと手を洗わずそのままごはんを食べたとしたら、運が悪いと便中の病原体が人間の口に入る可能性もあります。感染すると胃腸症状が出たり、風邪に似た症状が起きたりすることもあります。ところが、「食当たりかな?」「風邪かな?」と思ってしまいがちで、動物からの感染症とはなかなか気づかないこともあり、治療が遅れがちです。
もちろんペットを飼っていれば、絶対に移るというわけではありませんが、注意することは重要です。ペットと暮らしていく上で、感染症にかかるリスクが少なからずあることはデメリットといえるでしょう。
④ペットへの強い依存が生活満足度を低下させる
ペットを溺愛することで、飼い主さんの幸福度が低くなることもあります。いつもべったり一緒にいるため、出かけていてもペットが気になって楽しめなかったり、買い物にすら出かけられないという状態では、生活満足度が低下しています。ペット以外は興味がなくなったり、さらにはペットが自己の一部になることもあるようです。ペットかわいさのあまり依存してしまうこともあるということを知っておきましょう。
ペットをお迎えする準備はちゃんとできてる?
「今日は疲れた」といってペットたちのお世話を休むことはできません。また、ペットが病気になったら動物病院に連れて行く必要がありますし、病気予防のために気をつかうのも飼い主さんの役目です。動物にもよりますが、数年から20年近く一緒に暮らすペットたち。人間はその間にさまざまなライフイベントの変化があるでしょう。最期まで面倒を見ることができるかどうか、じっくり考える必要があります!
①ペットが飼える家かどうか
当然ながら、ペット飼育禁止の家でペットは飼えません。内緒で飼うとトラブルの元になりますし、存在を隠して飼い続けることは、飼い主さんもペットにも大きなストレスになることでしょう。
集合住宅の場合、住人のなかには「ペットが苦手な人」「アレルギーがある人」もいる可能性を忘れないようにしたいです。小鳥や金魚ならOKと思っても、大家さんや不動産会社に確認しておく必要があります。ペット飼育可の集合住宅でも、ペットの種類・大きさ・飼育頭数に制限があることも多いです。自宅がペット飼育可なのか、規定はあるのかなどの確認を忘れないようにしてください。
②ペットと触れ合う時間がある
「忙しくてペットにはかまっていられない」「朝から晩までペットだけが留守番」「最低限のお世話しかできない」という環境では、ペットは幸せではありません。特に群れで暮らす習性のある動物にとって、一人ぼっちで過ごす時間が長いことは大変辛いのです。
「猫は1匹で留守番ができるから大丈夫」と思いがちですが、近年の猫は人とのコミュニケーションが以前より発達し、変化をしているといわれています。猫が想像以上に人の「感情・表情」を理解していることもわかっていて、その分「分離不安」にもなりやすい猫も増えているようです。「静かだし、散歩もいらないから留守番が長くてもいいだろう」「人には慣れてないから放置しても大丈夫」という理由で安易にペットを飼うことは、ペットにとって不幸な結果になりかねません。
③ペットを飼うことに家族全員賛成している
「家族に反対する人がいるけど、飼い始めれば好きになるだろう」と飼いはじめ、好きにならないパターンもあります。そうなるとお世話もお願いできないですよね。また、アレルギーの方にとっては苦痛でしかありませんし、症状がひどくなると飼い続けることは困難です。家族のなかで険悪なムードになり、大切なペットを人に譲ることを検討することになりかねません。「家族の同意が得られていること」「アレルギーの人がいないこと」は重要なポイントです!
④転勤や引っ越し予定がない
多くのペットは環境の変化や移動に弱く、強いストレスを感じやすいんです。転勤が多い仕事や、引っ越し予定が入っている方は見合わせる勇気も必要です。移動に飛行機を使う場合、ペットは貨物室で過ごすことになります。航空会社もペットの移動にはさまざまな工夫やサービスをしていますが、温度や音の影響があることはあらかじめ知っておきたいポイントです。
⑤一人暮らしではない
一人暮らしで病気や入院など突然のトラブルがあったとき、ペットのお世話ができなくなる危険性が高くなります。現在一人暮らしで飼っている方は、もちろん対策をされていると思います。しかし外出中、仕事中に災害が起きたら…?真夏に停電になってしまったら…?家の中で飼い主さんが倒れてしまったら…?「そんなことを心配していたら何もできない」と思うかもしれません。ただ、何かあったとき真っ先に犠牲になるのは、ペットであるということを頭に入れておいてください。寂しいからという理由でペットを飼うのではなく、十分準備をして「本当に飼えるかどうか」考えてみることは大切なことです。
⑥いつかは別れが来る覚悟をしておく
ペットたちの命は、私たち人間より短いことがほとんど。飼う以上はペットの一生を最期までしっかり面倒を見るという気持ちが必要です。高齢になり介護が必要になる動物もたくさんいます。高齢期になると飼い主さんのことを忘れてしまうかもしれません。また、お別れした後はペットロスになってしまうことも…。それでもペットと幸せに暮らせるという気持ちが、ペットを飼う上では、欠かせないことです。
まとめ
大事なのはデメリットも事前に知ること!
もし今回の記事を読んで、「ペットを飼うのは厳しそう…」と感じた場合は、ペットのためにもあきらめる勇気が必要でしょう。しかし、一緒に暮らせる環境を整えていけば、ペットと暮らすことも可能になります。大事なのは、事前にメリットとデメリットを知ることです。デメリットを知らずにペットをお迎えするとお互いが不幸になってしまうかもしれません。両方を知った上で、自信をもってお迎えすれば、かけがえのない存在となることでしょう♡