アメリカの銀行が次々に破綻……もし日本の銀行が破綻したら預金はどうなる?

アメリカでは、シリコンバレーバンクに続いて、シグネチャー・バンクが経営破綻しました。ヨーロッパでは、スイスの巨大金融グループであるクレディ・スイスの救済合併が決まりました。もちろん、これは各銀行の個別の事情があるわけで、日本にすぐ波及するわけではないですが、「もし日本の銀行が破綻したらどうなるの?」と不安になりますよね。そこで、万が一にも日本で銀行が破綻した場合、預金にどのような影響があるのか、調べてみました。

  1. 銀行
  2. 破綻
  3. 預金
1

日本ではセーフティーネットが整備された

もし、日本で銀行が破綻したら、どうなるのでしょうか。
日本では、1997年以降に金融機関が相次いで破綻した金融危機を経て、金融システムを守るセーフティーネットが整備されました。

金融機関の破綻時には、「預金保険制度」に基づき、処理されます。
万一の場合に預金者を保護し、決済の履行を担保して、信用秩序を守ることを目的とする制度です。

破綻先に代わり、政府・日銀と民間金融機関が共同で設立した「預金保険機構」が一定額までの預金等を保護します。
原資は、金融機関から徴収している預金保険料です。

もちろんすべてをカバーするわけでなく、保護対象となる金融機関、金融商品が決められています。
対象の金融機関は、日本国内に本店がある銀行、信用金庫、信用組合、労働金庫、信金中央金庫、全国信用協同組合連合会、労働金庫連合会、商工組合中央金庫など。
政府系金融機関や日本の銀行の海外支店、外国銀行の在日支店は対象外です。
農林中央金庫や農協・漁協などの系統金融機関も対象外ですが、別途、預金保険制度と同様の仕組みでカバーされています。

2

日本ではセーフティーネットが整備された

金融商品で対象になるのは、一般的な円預金で、外貨預金はカバーしません。
邦銀の外貨預金でも同様です。

昨年来の円安で関心が高まる、外貨預金のデメリットの1つとして覚えておきましょう。
円建てでも、譲渡性預金や架空名義の預金、他人名義の預金(借名預金)は保護制度の対象外です。

預金保険制度の対象の金融商品は、さらに2つに分かれます。
全額が保護される預金と、「元本1000万円とその利息まで」という条件付きの預金です。
後者は逆にいうとそこまでしか保護されず、破綻時には全額は戻らない可能性が高いでしょう。

払い戻し保証を一定額に限る「ペイオフ」制度が2005年4月以降、全面的に始まっています。
制度自体は昔からあったのですが、取り付け騒ぎを恐れた当局は長らく発動を封印しています。

金融危機時には、例外措置を繰り返して預金の全額保護を続けてきました。
しかし、金融機関の経営も正常化してきているので、今後は預金者もルール通りの処理を覚悟したほうが良いかもしれません。
実際に、2010年に破綻した日本振興銀行に対しては、ペイオフが発動されましたからね。

3

当座預金や利息のつかない普通預金は全額保護対象

同じ預金でも、当座預金や利息のつかない普通預金(決済用預金)は全額保護の対象です。

ペイオフの対象になる預金は、それ以外の利息のつく普通預金、定期預金、納税準備預金、定期積金など。
同じ銀行に複数口座あれば、預金者ごとに名寄せして合算されます。

預金者1人あたり1金融機関ごとに、元本1000万円までと破綻日までの利息は保護対象になりますが、それを超える部分がどの程度戻ってくるかは、破綻会社の財務状況次第です。

例えば1500万円の定期預金なら、1000万円までの部分は保護されますが、はみ出る500万円分については、破綻処理を終えた後、債務カット率がどの程度になるかによります。
カット率30%なら150万円は戻らない計算です。
小さな額ではありませんが、金融危機時の破綻例で試算してみると、2割前後になるとの数字もあります。

「1000万円を超えた分は全額没収になるのでは……」と過度におびえる必要はないと思います。

まとめ

安心して銀行に預金しましょう

もし、日本の銀行が破綻したとしても、元本1000万円とその利息は、保護されますから、とりあえずは安心ですよね。

もし、1000万円以上の預金があるなら、別々の銀行に預金しておくと、どちらも保護されますよ。

ですから、タンス預金をする必要はなく、安心して銀行に預金してくださいね。

この記事を読んでる人はこちらの記事も読んでます