
祝! 新紙幣が7月3日に発行! 豆知識をまとめてみました
新たな紙幣が7月3日に発行されましたね。そもそもなぜ、この時期に新紙幣を発行したのでしょうか。新たな紙幣に採用された技術とはどんなものでしょうか。ちょっと気になる新紙幣の疑問やトリビアをまとめてみました。
改刷は約20年ごとに行われる
日本の紙幣は「日本銀行券」と呼ばれ、中央銀行である日本銀行が発行しています。
発行主体は政府ではないのです。
印刷も造幣局ではなく、独立行政法人の国立印刷局が担います。
お札の肖像や様式は財務省が担当し、発行元は日銀、製造元は国立印刷局。
最終的には、財務大臣がデザインなどを決定します。
お札の図柄やデザインを変えることを「改刷」と言います。
今回の改刷は、財務省が2019年に発表。主な理由は「偽造抵抗力強化等」であり、偽造防止の強化策の一環という訳です。
新1万円券に渋沢栄一などの図柄が公表され、新たなホログラムを使った偽造防止技術を導入したり、誰にでも見やすいデザインや色味を使う「ユニバーサルデザイン」を採用することも合わせて発表されました。
例えば、数字の大きさは現紙幣よりも新紙幣のほうを大きくしました。
年齢や国籍、障害の有無にかかわらず、多くの人が簡単に使えるお札をめざしたようです。
近年、改刷は約20年ごとに行われています。
国立印刷局の担当者によると、仮に偽造券が出回った場合は「緊急改刷」が行われることもあり得るとのことですが、日本の偽造防止技術は世界一とされ、改刷ペースは自然と約20年ごとになっているのだそうです。
新紙幣が発行されても旧紙幣を使える
お札をつくる国立印刷局は、明治4(1871)年に「大蔵省紙幣司(しへいし)」として創設されました。
明治10(1877)年に国産第1号紙幣となる「一円券」を発行。
ただし、これは日銀創設前の「国立銀行紙幣」。
日本銀行券の第一号は、1885年5月発行の「旧十円券」で、表面には大黒天が描かれました。
以後、印刷局はこれまで53種類のお札を発行しています。
戦後の1946年に発行されたお札は、通称「A券」と呼ばれます。
以後、デザインが変わるごとに、アルファベットが振られてきました。
57年から発行された、聖徳太子の5000円札と1万円札などは「C券」。
2000年発行の2000円札「D券」などを経て、今回発行される新紙幣は「F券」となります。
もちろん新紙幣が発行されても、これまで発行された旧紙幣は引き続き使えます。
「現行の日本銀行券が使えなくなる」と言われたら、それはウソです。
「旧紙幣の回収サービスです」などと言う業者があったら、それは詐欺だと思ってください。
新紙幣の「顔」は、1万円札が日本経済の礎を築いた渋沢栄一。
5000円札が津田塾大を創設した津田梅子
、1000円札は「近代日本医学の父」と呼ばれる北里柴三郎
の3人で構成されています。
お札を作る費用は数十円?
お札の図柄に選ばれる人には基準があります。
法律で決まっている訳ではないですが、国立印刷局によると、「なるべく精密な写真が入手できること」「品格のある紙幣にふさわしい肖像であること」「人物が広く国民に知られており、業績も認められていること」が基準とのことです。
知名度や業績はもちろん、その人の風貌や写真の有無がデザインを左右することになります。
今回の新紙幣の3人は、それぞれ複数枚の写真を参考に、国立印刷局の工芸官が肖像画を描きました。
渋沢は全盛期とされる60歳代の姿がお札になっていますが、肖像に向く60歳代の写真がなく、晩年の写真などを参考に想像して描かれました。
若い頃から晩年までの写真があった津田は、津田塾大を創設した30歳代の顔をイメージしました。
北里は50歳代の姿の肖像画にしています。
さらに、それぞれ細かい点や線で描くことによって、偽造しにくいデザインを施してあります。
真似をしようとすると、違和感のある表情になるんだとか。
最後に、お金の話だけに、お札を作るのにいくらかかるかも気になるところです。
国立印刷局では非公表ですが、紙幣に詳しい専門家によると「数十円ほどとみられる」とのことです。
ちなみに、米国の中央銀行である米連邦準備理事会(FRB)は、各紙幣の印刷コストを、以下のように発表しています。
・5ドル札(約795円)=4.8セント(約7.6円)
・10ドル札(約1590円)=4.8セント(約7.6円)
・20ドル札(約3180円)=5.3セント(約8.4円)
思った以上に安いコストに見えますが、世界でもっとも発行されている紙幣だけに、大量生産によるコスト抑制効果が効いているのかも知れません。
まとめ
未来の美しい肌のために……
そろそろ皆さんも、新紙幣をゲットできましたか?
新紙幣には、偽造されないように最新の技術が結集されているので、見ているだけでも高級感を感じます。
外国の紙幣と比べても、日本の紙幣はデザイン性も高く、技術も詰まっていて、日本人として誇らしい気持ちになりますよね。
キャッシュレス決済の時代ではありますが、たまには新紙幣でお買い物をするのも楽しそうです!
