国民健康保険料の年間上限額が2万円アップ! 負担増となるのはどの世帯?

厚生労働省は、2023年度(令和5年度)から国民健康保険料の年間上限額を2万円引き上げる方針を発表しました。国民健康保険は、職場の健康保険に被扶養者として加入していない方などが加入する健康保険です。今回は、特に負担増となる対象世帯の具体例や少しでも保険料負担を減らす節約テクニックについてお伝えしたいと思います。

  1. 国民健康保険料
  2. 上限額
  3. 上昇
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国民健康保険料は所得に応じて決まる

国民健康保険料は、所得に応じて公平に負担する仕組みです。
とはいえ、そこまで医療機関を利用していないのに、「前年度の収入がたまたま多かった」ために、高すぎる保険料を負担させられてしまうのはおかしな話です。
そのため、所得が一定金額を超えてくると、保険料の上限額に達し、それ以上保険料は増加しない仕組みがあります。

具体的に言うと、国民健康保険料は、区分ごとに世帯限度額が設けられ、各区分の合計額が世帯限度額以上になる場合は、世帯限度額を優先することになっています。

例えば、東京都大田区の場合は、世帯限度額102万円(医療分65万円、後期高齢者支援金分20万円、介護分17万円)となっています。

この国民健康保険料の年間上限額について見直しをして引き上げましょうというのが今回の法改正の趣旨です。
令和5年度の国民健康保険料の年間上限額は最大2万円引き上げられ、年間104万円となる方針です。

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年収1000万円以上は保険料が上がる可能性も

今回の見直しにより、来年度から負担が増える高所得世帯はどのような世帯なのでしょうか。

ざっくりと言えば、高所得者層が、今回の改正で保険料増額となりそうです。
高所得者層というのは、概算で年収1000万円以上(所得で700~900万円位)の国保加入者が該当してくる可能性が高いといえます。

厚労省の試算によると、限度額該当世帯の割合は、加入世帯全体の1.51%に過ぎないそうですから、影響は比較的軽微なのかもしれません。

ですが、今回の試算では、2022年度(令和4年度)の保険料率を適用していますので、もし来年度保険料率が改正され、料率が上がった場合には、年収1000万円以下の人でも、引き上げ後の上限金額が適用される可能性があります。

また、子育て中の世帯では、保険料以外に教育費などの負担や住宅ローンの返済も考慮しなければならず、特に子供が高校生や大学生など、一番教育費がかかる年齢に差しかかっている場合、月数千円程度の保険料負担の増加でも、家計に重くのしかかってくることも十分に考えられます。

今回、対象にはならなかった世帯でも、このような見直しが今後も続く可能性を考えると、こういった社会保険料負担増加のために、何らかの対策を立てておく必要がありそうです。

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保険料を節約する方法4選

「国民健康保険料は高すぎる!」というあなたに、保険料を節約するテクニックを紹介します。

① 世帯を1つにまとめる
1世帯ごとにかかる「平等割額」が保険料に加算される市区町村があります。
この場合、例えば親世代と同一住居で生活をしているにもかかわらず、別世帯として国民健康保険に加入すると、それぞれに平等割額がかかってきてしまいます。
もし世帯を一緒にすることができるのなら、即実行すべきです。

② 保険料の安い市区町村へ引っ越す
引っ越しといっても、そう簡単にできるものではありませんが、場合によっては年間で数十万円もの保険料節約が可能になるかもしれません。
全国で一番高い自治体と低い自治体の差は、2倍以上になるケースもあります。
保険料の節約方法として、住む自治体を変えることはもっとも効果的かもしれません。

③ 電子マネーのnanacoを利用する
nanacoは、コンビニのセブンイレブンが運営する電子マネーです。
国民健康保険料はこのnanacoで支払うことができます。
クレジットカードでnanacoチャージすることで、カードのポイントを貯めることができます。
nanacoへのチャージにクレジットカードを利用する場合は、どのクレジットカードでも良いわけではなく、セブンカード系列のクレジットカードのみとなっています。
以前はJCBカードや三井住友Visaカードなどでもチャージできていましたが、今はセブンカード系列のカードでしかチャージができないので、注意してください。

④ 確定申告で控除を受ける
国民健康保険料をきちんと納付していて所得がある方は、確定申告を行うことで社会保険料控除を受けることができます。
結果として、国民健康保険料の軽減・節約につながりますので、該当する方は必ず確定申告を行いましょう。

このほか、国民健康保険では、ある一定の条件を満たす方については保険料を減免(免除)してくれる制度があります。
例えば、勤めていた会社が倒産して無職になってしまった方とか、病気やケガで障害を負った方などが該当しますので、お住まいの市区町村などに相談してみてください。

まとめ

使えるサービスはもれなく利用しましょう

せっかく払った保険料を無駄にしないためにも、使えるサービスはもれなく利用しましょう。
例えば、出産育児一時金や葬祭費、高額療養費の支給などがあります。

まずは、あなたのお住まいの市区町村でどういうサービスがあるのかを把握しておき、いざという時に役立ててくださいね。